最近は葛湯が好きです

作曲とこころ

Mr.Childrenのコンサートに行ってきました。
そのメモです。
以下、桜井さんのお話の内容と私の言葉が混ざっています。


今年でデビュー25周年。この歳になると、「どうやって作曲してるんですか」ってよく聞かれる。
その時は、作曲って夢占いみたいなもの、って言っている。

夢って、あの夢を見ようと思って見るものではない。
歯が抜ける夢を見たら、もうすぐ誰かに死が訪れるとか、
追いかけられている夢を見たら、ストレスが溜まってるとか、
自分だけでは気づかなかったことを教えてくれることもある。

作曲も同じ。
これを伝えるための、このストーリーの歌を作りたいと思って作ってるんじゃない。
メロディーが先に浮かんできて、そこから感じるものを言葉にする。

作曲のプロセスは、3パターン。

1つめは、メロディから。
まずメロディが生まれる。そこに言葉がのっかる。

水上バス』はそのパターン。この曲は、よく「2番の後からがっかりする…」って言われる。笑
2番までは歌詞も幸せそうなのに、その後不穏な雰囲気になる。
確かに、こんな感じだもんね。そう言って、桜井さんはギター1本と声で、2番の最後から歌い始めた。

でもこれはね、不幸にしたかったんじゃない。
できるならハッピーエンドにしたかった。
でもしょうがないじゃん、このメロディーだったんだから!笑
もしハッピーエンドだったらこんな感じかな?と言って、再び桜井さんは歌い出す。たぶん即興作曲。みんなで聴き入る。

でもこのハッピーエンドのじゃなくて、
あのメロディーだから、あの歌詞になったんだ。


トークが始まったときから、舞台上には大きな蓄音機みたいなのがあった。
これは、CDプレイヤーらしい。
高かったらしい。15万円くらいだって。
ごめんね、生々しいこと言って、って桜井さんは言ってた。


2つめは、アレンジを先にするパターン。
アレンジをしてから、歌詞をつける。この時、歌詞にはみんなでアレンジをしていくプロセスものっかっていく。

サザンの『慕情』は、このパターン。これは裏を取って来たんだ、と嬉しそうに桜井さんは言っていた。
「水に投げた小石の跡が 止めどなく輪を広げ」という歌詞のときは、本当に水が広がっていくような音がする。
水の歌詞を書いて、後から水の音を入れたかと思うかもしれないけど、そうじゃない。
先にアレンジの時に音が入って、後から言葉がのっかったのだ。
あの蓄音機みたいな大きなCDプレイヤーを使って、大きなホールで、みんなに『慕情』を聞かせてくれた。
確かに、その音があった。

もう1つ、このパターンの曲がある。アルバムHOMEの11番、『SUNRISE』だ。
CDプレイヤーのCDを入れ替える。曲が流れてくる。
前奏は、太陽が屈折してゆらゆらしているような音。
桜井さんは、この前奏を聴いた瞬間に、タイトルをSUNRISEと決めたらしい。
みんなもこの光景が見えない?と、もう一度桜井さんは、私たちに聞かせてくれた。
ボタンを押し間違えて、違う曲にとんじゃって、会場のみんなで笑ったりもした。


3つめは、歌詞から生まれるパターン。
このパターンは、日常をそのまま切り取った歌に多いそう。
こういう歌には、派手なアレンジはいらない。
日常を切り取ったスナップ写真を飾るのに、金色の太い額縁がいらないのと同じように。

このパターンに当てはまるのは、これ。そう言って桜井さんは歌を歌い始めた。
「あたし中卒やからね仕事を もらわれへんのやと書いた 女の子も手紙の 文字はとがりながら震えている」
中島みゆきさんの『ファイト』。
桜井さんは、そのままギター1本と声で歌い続けた。

続けて、もう一曲歌った。その曲はミスチルの曲だった。でも、タイトルは忘れてしまった。

その曲を歌い終え、トークの時間は終わった。
これをトークと呼ぶのかよく分からないけど、とっても興味深い時間だった。


もう1つ、印象に残っている話がある。それは、新曲『こころ』を歌う前に話していた、心についての話だ。

最近、身近な人を何人か亡くしたそう。
でも、亡くしてもその人は心の中にいるよ、ってよく言う。
本当にそう思う。心でいつでも会えるから、その人のことを思えるから、あまり寂しいとは思わない。

じゃあ心ってどこにあるんだろう、って考えた。
それは、その人を思う思考回路そのものじゃないだろうか。

あの人、あの時あんな顔してたな。
もし今、この言葉をかけたらどんな顔するかな。
今度あれを渡したら、どんな風に思うかな。

何か・誰かを思う思考回路そのものが心だったら、
たくさん考えるほど、心が豊かになるってことだ。


この『こころ』という曲は、曲を聴く人のことを考えながら書いたそう。
どんな言葉だったら、どんな音だったら、どんな曲だったら、
どんな顔をして、何を考えて、どう感じるかなぁって考えながら。

この『こころ』という曲は、私たちへの心そのものだった。